沖縄の建築といえば赤瓦の屋根を思い出しませんか?
青空と赤い屋根の組み合わせは沖縄のイメージそのものです。
沖縄の街の中や公園の東屋ではよく赤瓦の屋根を見かけるでしょう。
17世紀後半から生産され始めた赤瓦ですが、当時は首里王府や役所、神社などに使われる高貴な色でした。
一般住宅への赤瓦使用には禁止令が出されていました。
明治22年以降禁止令が解除され、やっと庶民のあいだにも赤瓦が流通することになったそうです。
美しく機能的な赤瓦は庶民の憧れでしたが、禁止令が解かれたからすぐ買えるほど安くはなくほとんどの住宅は茅葺き屋根のままでした。
それでも「いつかは赤瓦屋根のマイホーム!」と思う庶民が増え、だんだんと赤瓦屋根の街並みが作られていったそうです。
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引用元:首里城公園
首里城は沖縄県那覇市にある琉球王国の城跡で世界遺産に登録されています。
赤瓦屋根は首里城の建物の特徴的な要素です。
琉球王国時代の建築様式で、琉球独特の赤い陶器製の屋根瓦を使っています。
赤は琉球王国の王族や高貴な階級を象徴する色であり、威厳と格式を表しているのです。
赤瓦は屋根を雨水や台風から守る効果もあり、建物を耐久性のあるものにしています。
首里城の赤瓦屋根は鮮やかな色合いと美しいフォルムが特徴であり、沖縄の伝統的な文化や歴史を感じさせてくれます。
2019年10月の火災で正殿を焼失した首里城ですが、現在は2026年の完成に向けて復元中です。
復元される首里城にはきっと赤瓦の屋根がのっているでしょう。
赤瓦は沖縄の気候に適した機能性
赤瓦の屋根は沖縄の気候に合っていると言われています。
どのような特徴があるのかみてみましょう。
赤瓦屋根のメリット
沖縄の赤瓦屋根には下記の6つのメリットがあります。
- 高い耐久性:赤瓦は非常に強く寿命が長いです。変色や劣化することなく、何十年ものあいだ美しい赤い屋根を保つことができます。
- 熱を反射:沖縄の気候は暑く湿気が多いですが、赤瓦屋根は太陽の光を反射し、建物内部の温度を下げる効果があります。真夏の暑い日でも快適な居住空間を維持することができます。
- 防水性:赤瓦は水を良くはじく特性があります。屋根に降った雨水は迅速に排水され、雨漏りのリスクを軽減することができます。
- 防火性:赤瓦は非常に耐火性が高く、火災のリスクを軽減します。他の屋根材に比べて火花や火の粉が瓦に引火する確率が低いため、火事の被害を最小限に抑えることができるでしょう。
- 風に強い:沖縄は台風の影響を受けやすい地域です。赤瓦は風によるダメージを受けにくく、密着性が高い上、風が通りにくいため屋根がはがれるなどの被害を最小限に抑えることができます。
- 風景に調和:沖縄の風景と赤瓦屋根は非常に相性抜群です。赤瓦の温かみのある色合いが美しい海や緑の風景と調和し、周囲の景観を引き立てます。
沖縄の赤瓦屋根は耐久性や機能性だけでなく、美しさも備えています。
瓦屋根が赤い理由
瓦屋根は「クチャ」という泥岩を使って作られています。
クチャは沖縄中南部で採取され、古代に大陸から堆積した泥灰からできた土壌です。
貝の化石やサンゴの死骸など豊富なミネラルを含み非常に細かい粒子でできた灰色の土。
このクチャは鉄分を多く含む粘土質のため、焼かれる際に酸化し瓦が赤く輝く色合いに仕上がります。
県外のしっかりと高温で焼き上げる工法ではなく、低温で素焼きによる工法により独特な赤い色ができあがるそうです。
赤瓦だと低い温度でも焼けるため、燃料費の節約にもつながります。
まとめ
首里城の赤い屋根に憧れ、庶民も家を建てる際は赤瓦の屋根にしていくでことで沖縄の美しい街並みが出来上がりました。
最近はさまざまな建築技術が取り入れられているため、赤瓦屋根の住宅ばかりではなくなったのが県外出身のわたしから見ると少しさみしく思えます。
それでもまだまだ赤瓦の屋根は沖縄の象徴ともいえるでしょう。
ぜひ沖縄観光の際はホテルや居酒屋の屋根だけではなく、一般住宅の赤瓦屋根のも注目してみてください。
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